【傷跡の話】

2016-03-04

この冬は、寒かったせいか、例年にも増してヤケドの患者さんの患者さん(とくに赤ちゃん)が多いです。遠くは沼津(往復三時間かけて)、藤枝からもお越しになる方もおります。ほとんどのケースでは湿潤治療で痛くなく、植皮、入院もせず綺麗に治癒することが出来ます。しかし中にはどうしても、キズやヤケドそのものは治っても肥厚性瘢痕色素沈着などの傷跡が残ってしまい、親御さんが悲観するケースもあります。

そういう時、我が師匠、夏井先生はこういうことを親御さん(母親)に説明するそうです。

以下転載

◦傷跡がない子どもに育てることより大事なことがある。思いやりがある優しい子どもに育てること,誰からも好かれる性格のいい子どもに育てることだ。
◦なぜかというと,親はほとんどの場合,子どもより先に死ぬからだ。親が死んだ後,自力で生きていける人間に育てることが親の最大の義務。
◦多少傷跡があっても性格が良ければ助けてくれる人がいるが,傷跡は全くないのに性格が悪ければ誰も寄ってこないし,助けてもくれない。生きていく上で小さな傷跡があろうがなかろうがハンディにはならない。
◦あなただって顔などに小さな傷跡の一つや二つはあると思う。それでも今の旦那様と出会えたし結婚もできたのだから,小さな傷跡はあなたの人生のハンディになっていないはずだ。それはこの子も同じ。
◦最悪な親は,子どもの傷を見てはさめざめと泣いてばかりいる親。そういう親を見て,子どもは自分が悪いから親が泣いていると感じてしまう。それは子どもの精神衛生上よくない。だから,子ども前では傷跡が気になっても頑張って笑った方がいいと思う。
◦親はそこに傷があることをいつまでも覚えています。それは親だから当たり前。そこに傷があることを知っているから,どんなに目立たなくなっても「キズが残ってしまった。この子に申し訳ないことをした」と考えます。でも,両親以外の世界の70億人はそこに傷があったことを知りません。だから,「ここに傷跡がある」と気付きません。人間は他人を見ているようで案外見ていないですから。だから,他人が気が付かない傷跡だったら,親も気付かないフリをしていいんですよ。

以上

是非、おいらも、こうした説明が出来るように、修練していきたいと思う。

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